股関節がアジリティ動作になぜ重要か、その役割から考えると、
股関節には
力の伝達・可動性・重心制御
など多くの役割が求められる関節なります。

股関節は可動性と安定性を求められる関節であり、動的な制御(コントロール)が必要とされるアジリティ動作では、可動性と安定性のどちらも改善する必要があります。
アジリティ動作において重要となる減速動作とは、走行中に方向転換やストップ動作を行うために、身体に生じている運動量(質量×速度)を減らす動作とされています。
鋭い方向転換や急減速による切り返しなど、スポーツパフォーマンスの向上には、短い時間でかつ強い力で減速する必要があります。
その減速動作において股関節は重要な役割を果たすことから、アジリティ動作の改善には股関節の機能を高める必要があります。
1.股関節安定化に重要な筋
股関節は球関節であり求心位(関節同士が噛み合う状態)になることで関節が安定することから、求心位を保ったままでの可動性改善が必要となります。
そのため静的なストレッチに止まらず、関節を安定化させる筋群の強化と共に可動性を改善するトレーニングを実施していく必要があります。
腸腰筋・小殿筋・恥骨筋これらの筋は大腿骨頭を求心位に向かうように働き、股関節周囲の靭帯と連結し、股関節の安定化に寄与します。

また外閉鎖筋は腸腰筋と大腿骨頭の前後で張力を発揮することで安定化することから、どちらかの筋緊張や筋機能が低下することで、安定性が低下することが考えられます。

股関節インナーマッスルエクササイズ
腸腰筋機能改善アプローチ
大腰筋は起始部である腰椎部ではタイプⅠ線維(遅筋線維)が多いことから、腰椎前弯を制御するために働き、停止部ではタイプⅡ線維(速筋線維)が多いことから、動的な働きをすると考えられます。
腰背筋膜は深層で腸腰筋、腹横筋と連結し、腰椎を安定させることから、腰椎が制御された状態で腸腰筋の活動を促します。
2.方向転換と減速動作
アジリティ能力とは、刺激に反応してバランスを失わずに身体の位置を急速に正確に変化させる能力とされています。
方向転換スピードのポイント
方向転換では方向転換前の脚(1歩前もしくは、2歩前)による減速動作(減速力)が重要であり、方向転換前の減速動作が十分であるほど、水平方向への重心移動が小さい(あおり動作が少ない)とされています。
そのため、アジリティ能力の向上には減速動作により水平方向への減速力を向上させることが重要になると考えます。

知覚情報と意思決定
状況判断を伴わない場合(自分で方向転換する方向を意思決定する場合)、方向転換前に体幹回旋角度が大きくなるとされています。
また状況判断を伴う方向転換では、状況判断を伴わない方向転換に比べて方向転換脚が接地後に股関節屈曲することから、より高い減速能力(股関節伸展筋群の遠心性収縮能力)が求めまれます。
以上から、方向転換能力を向上させるには、減速力を高めること(股関節伸展筋力の強化)、体幹回旋をコントロールすることがポイントとなります。

3.減速動作と股関節制御
減速動作とは、走行中に方向転換やストップ動作を行うために、身体に生じている運動量(質量×速度)を減らす動作とされています。
鋭い方向転換や急減速による切り返しなど、スポーツパフォーマンスの向上には、短い時間でかつ強い力で減速する必要があります。
効率的な減速動作
減速動作を習熟させるには、外力である床反力と重力を効率よく活用する必要があります。
減速時に重要とされる、ネガティブシンアングル(下腿後方傾斜)は床反力を後方(水平方向)に傾け、効率的に活用するためのポジションであり、歩行動作においても、接地時にはネガティブシンアングルで減速するフェーズとなります。
減速動作において重要となるのが股関節制御となります。
接地時の前に倒れる力に対して、股関節後面筋および体幹筋での制御が必要となります。
股関節屈曲を制御するには、股関節屈曲により大腿骨頭に対して臼蓋の被覆率を高め構造的に安定化させ、さらに生理学的筋断面積が大きい大殿筋を強化することで減速力を高めていきます。
大殿筋トレーニング
大殿筋は大きなトルクを発生させられることから、減速動作において前方へのあおり動作を軽減させるために重要な役割を果たします。
大殿筋を機能させるポイントを下腿を地面に垂直に押すことです。
下腿を地面に対して垂直に位置させた状態でトレーニングを行います。
4.方向転換と体幹制御
減速時には股関節伸展筋に加え、体幹後面筋による減速と、方向転換時には体幹筋による側屈・回旋制御が必要となります。
体幹トレーニング
股関節後面筋同様に、体幹の前方へのあおり動作を軽減するには体幹後面筋による制御も必要になります。
体幹後面-股関節後面は筋連結を有することから、両者の共収縮による骨盤制御を行います。
側屈・回旋制御トレーニング状況判断を伴わない場合(自分で方向転換する方向を意思決定する場合)、方向転換前に体幹回旋角度が大きくなることから、体幹回旋の制御能力も求められます。
以上、アジリティ動作改善のためのトレーニング方法ををご紹介しました。足部の剛性および、股関節制御・体幹制御を高めるトレーニングが必要となります。
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