足関節捻挫はスポーツにおいて頻発する怪我(全スポーツ外傷・障害の30-40%との報告が多い)であり、重症化する事が稀なことから、十分なリハビリ・トレーニングを行わずに復帰し再発するケースや、その後の不十分な対応により症状が残存しているケースが多く見られます。
慢性足関節不安定症
再受傷率の高さ(50%以上の報告が多い)は、不十分な安静期間(治癒期間)による機械的不安定性の残存や、不十分なリハビリによる機能的不安定性の残存により、不十分な状態で早期復帰することで足関節捻挫を繰り返す原因となります。
不安定性が残存しその繰り返される状態を
慢性足関節不安定症=CAI|Chronic Ankle Instability
とされています。
早期復帰による機械的な不安定性を残存させることなく、可動域制限や筋力低下に起因する機能的な不安定性を残存させないためにも十分なリハビリが必要になります。
特に
✔︎足関節背屈可動域制限
✔︎腓骨筋・ヒラメ筋の機能低下
以上による足関節制御不全が報告されており、それらの機能を十分に改善する必要があります。
そのため、
足関節捻挫の再発を予防しリハビリを進めるポイントは
病態を考慮し、筋力と可動域改善による機能的安定性を得るために、適切に管理されたプログラム
が必要となります。
❶足関節背屈可動域の改善
足関節の機能的安定性を得るには背屈可動域の改善が必要になります。
足関節は代償なく背屈することで構造的に安定しますが、アキレス腱の柔軟性が低下していることで踵の動きが低下して代償的にアーチを潰すことになります。
アキレス腱柔軟性あり
アキレス腱の柔軟性があることで踵の骨が上がり、その結果アーチの土台となる部分が持ち上がり内側アーチが持ち上がります。
アキレス腱柔軟性なし
アキレス腱が硬くなること踵の骨が下がり、その結果アーチの土台となる部分が潰れて内側アーチが沈んでしまいます。
アキレス腱解し
また背屈時に距骨が後方移動しますが、距骨後方にある長母趾屈筋が硬くなると、後方移動が阻害されるため、その柔軟性を改善する必要があります。
❷アーチを機能させる立方骨挙上
足部には内側縦アーチ・外側縦アーチ・中足部横アーチ(前足部・後足部)があり、骨の配列によってアーチが形成され、靱帯・関節包が適切な張力を保つことで受動的な安定性を形成します。
外側縦アーチの要石(頂点)は立方骨となり、内側縦アーチが挙上することで、横アーチを介して外側縦アーチに荷重されることから、内側縦アーチを挙上する際は外側縦アーチの安定が必要となります。
そのため3つのアーチを機能させるには、外側縦アーチの要石である立方骨を挙上し安定化を得る必要があると考えます。
立方骨挙上エクササイズ
❸腓骨筋群の機能改善
足関節捻挫再発例では腓骨筋群およびヒラメ筋の筋力低下が認められるとされています。
さらには腓骨筋の反応時間の遅延も報告されていることから、これらの筋力回復は必須となります。
腓骨筋はクロスサポートメカニズムにより足底で交差する後脛骨筋・長腓骨筋が中足部を支えます。
長腓骨筋・後脛骨筋トレーニング
❹ヒラメ筋の機能改善
ヒラメ筋は足関節を後方から安定させる筋であり、踏み込んだ際の安定性に貢献します。
ヒラメ筋トレーニング
腱機能改善のためのプライオメトリクストレーニング
筋力改善を図ったのちに、腱機能改善を目的としてジャンプトレーニングを行います。
プライオメトリクストレーニングでは素早く・爆発的なパワー発揮を獲得するために、腱の弾性エネルギーを活用するトレーニングとなります。
運動を制御できないほどの素早い動きでは意識化でコントロールできないため、トレーニングでも動作の速度を上げたトレーニングを実施します。
スポーツ復帰基準
スポーツ復帰では、片脚でのアンクルホップを素早く左右繰り返して、その速度を比較して、左右差のない状態を目指します。
以上、足関節捻挫からの復帰アプローチをご紹介しました。
足関節捻挫後の不調によりパフォーマンスが戻らないなど、お困りの方は是非お試しください!
理学療法士によるパーソナルトレーニング
医療の現場でも用いられる徒手療法にて、筋・関節の状態を適正化させることで力が入りやすい状態を目指します。
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