股関節は衝撃の吸収・力の発揮に重要な役割を担い、股関節周囲の筋肉を強化することでパフォーマンスの改善を図ることにフォーカスを当てることが多いかと思います。
しかし股関節周囲筋(主に大殿筋・中殿筋・小殿筋)が硬く、ストレッチをしてもなかなか改善が見られないケースが多いのではないでしょうか。
殿部が硬くなると股関節の動きが制限され、他関節に負担がかかるだけでなくパフォーマンスにも大きな影響を及ぼすことになります。股関節の動きを改善するためにストレッチをすることも重要であるが、
なぜ殿筋(股関節)が硬くなるのだろうか??
を考える必要があります。
1.重心位置
動きを見る上で重心の位置を推定することは重要な指標となります。
重心は、上半身質量中心(肩甲骨の下)と下半身質量中心(太ももの中心)の中間にある。
右側屈(身体を右に傾ける)は上半身質量中心を右に倒す動きとなります。
動きの中で重心を支持基底面(地面に接している面)内に保つ必要があり、そのために下半身質量中心を左に移動させ姿勢を保持しています。
2.足関節と股関節の関係性
側屈動作 ※左脚に注目
足関節は回外(地面に対して外に倒れる)し、股関節が内転します(殿部が外側に移動する動き)。
足関節が回外することで、股関節が外側に移動(内転)し下半身質量中心を外側に移動することができます。
下半身質量中心が外側に移動することで上半身質量中心を反対側に倒すための動きを補償し、安定性を確保しています。
下半身質量中心外側移動不良例|足関節の影響
足関節過回内|扁平足
土踏まずが低下し、アーチが潰れること下腿(スネ)の外側傾斜が減少し、股関節の外側移動(内転)量が低下します。
足関節過回外|足裏の内側が浮く
股関節が外側へ移動するための補償する動き(安定する場所がない)が少ないため、股関節の外側移動を下肢外側の筋肉で支えることになります。
足関節機能改善トレーニング
以上のように股関節と足関節はお互いにバランスを取り合うことで姿勢・動きをコントロールしています。
そのため足関節の機能不全は股関節に対する負荷が増大し、股関節(臀筋)が硬くなる原因となります。
特に足関節捻挫をしたことがある方は足関節の柔軟性・筋力を十分に改善する必要があります。足関節の荷重する位置が変化することで、動きの方向性が変化し、股関節や上半身で庇うケースが多く見られます。
足関節機能改善方法
3.上半身と股関節の関係性
下部胸郭が外側に拡張することで上部胸椎が内側に倒れることができ、上半身質量中心が内側に移動します。(図右)
下部胸郭が外側に移動できないと、上部胸椎のみでの側屈となり右側に倒れる力が大きくなります。
その右に倒れる力を左の殿部で制御する必要があります。(図左)
そのため、胸郭の拡張不全は上半身の側屈を制限し股関節の外側で支えることとなり、殿筋に負荷をかけやすい状態となります。
胸郭柔軟性改善ストレッチ
胸郭の可動性低下は上半身質量中心の移動を低下させ、股関節での制御が大きくなり、股関節(殿筋)が硬くなる原因になります。
4.殿筋が硬くなることによる弊害例
股関節後外側の筋群が硬くなることで、骨盤が下り、骨盤の偏位に対して腰部の筋群が支えるために硬くなることがあります。
足関節・上半身の筋群の硬さにより股関節が硬くなることは全身に波及し、全身の自由度が低下して動きの円滑性が低下してしまいます。
股関節機能改善トレーニング
一部の関節機能障害により体幹-下肢の連動性が損なわれ、動きの制限を引き起こしてしまいます。
特に股関節は障害予防、スポーツパフォーマンスの向上に重要な部位となります。
股関節が硬くなる原因を探し、その部位の関節機能(安定性や柔軟性)の改善し、全身が連動するトレーニングをすることが、股関節機能の改善に有効ではないかと考えます。
股関節柔軟性改善エクササイズ
まとめ
股関節が硬くなる原因に対してアプローチすることで、柔軟性の維持・向上が見込めます。ストレッチだけに留まらず、トレーニングも並行して行うことで動きやすい身体を獲得できるようになります。
理学療法士によるパーソナルトレーニング
医療の現場でも用いられる徒手療法にて、筋・関節の状態を適正化させることで力が入りやすい状態を目指します。
関節が安定した状態で、身体の連動性を高めるトレーニングにより、適切なタイミングで適切な方向に、適切な力を発揮しやすい状態を獲得します。
身体機能を高めることで、効率的な動作習得を目指します。
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