バランスが良いとは
一点で止まるだけでなく、大きく動き、倒れそうになっても倒れない、転びそうになっても一歩踏み出せることもバランスが良い定義となります。
下肢で作り出されたパワーを上半身、物体に伝えるためにも安定した体幹が必要であり、上半身の反動を下肢に伝えるためにも安定した体幹が必要になります。
不安定な体幹や固まった体幹では、動きが小さくなったり、不必要な筋収縮によって精密な動きを困難とします。
固定と安定
固定|不安定な状況にならない様に、その場に止まろうと身体全体に力を入れること。
安定|不安定な状態でも、四肢・体幹で釣り合いをとること
姿勢が崩れそうになった時に、筋肉に力を入れてバランスを保つことが続くことで、その筋肉は過剰に働く状態が続いてしまいます。
また方向転換などにおいて必要以上の筋肉の活動は、円滑な動作の妨げとなってしまいます。
一部の関節の動きの低下は他の関節でかばうことになり、釣り合いが崩れることで、筋肉は過剰に働き姿勢を保とうとします。
安定によるバランスが良いとは、関節がバランスよく動き、釣り合いにより姿勢を保つことだと考えます。
いわゆる身体の軸を形成し、軸を中心に各パーツが動き、釣り合う頃でバランスを保つことから、身体軸の強化と各関節の柔軟性を高めることで安定化を図れると考えます。
3つのバランス戦略
Lv.1|重心を動かさない運動(静的保持) Lv.2|支持基底面内での運動 LV.3|支持基底面を移動させる運動
まっすぐ立っている状態は重心が動かないため(厳密にはわずかに動いている)、最も安定しています(Lv.1)。
まっすぐ立った状態でお腹を前後に動かすと重心が前後に動きます。脚が一歩踏み出さずにその場に止まるバランス戦略がLv.2となります。
さらに大きく動くと重心が支持基底面から外れ、バランスを崩すため脚が一歩出ます(Lv.3)。
スポーツにおいては相手との接触や移動を伴うためLv.2→Lv.3のバランス戦略が非常に重要になります。強い筋肉を作るとともに、バランスをとるトレーニングも必要になるのではないでしょうか。
バランス能力を高める3つの機能
1.体性感覚
地面の形状や柔らかさなどの情報は足底感覚や、筋中に存在する筋紡錘などから情報を脳に送り続けています。
地面が傾いている、凹凸などの形状を認知するためにも体性感覚は重要な感覚器となります。
そのため筋肉は収縮器官でもあり感覚器官でもあるとされています。
2.前庭覚
前庭にて重力や身体に加わる加速度、頭部の傾きを感じ取り、頭部を垂直に保ちます。
重心動揺計にてその軌跡を計測すると、絶えず重心は動揺しています。
動揺する重心を感知し、姿勢を常に修正し保持しています。
3.視覚
視覚はフィードフォワードという、先行的に入る情報を処理し、姿勢を修正するのに貢献しています。
そのため視覚を優位にトレーニングを行うとその処理に時間がかかるため、実際のスポーツ動作との乖離が生じる可能性があります。
これらの3つの感覚器の情報が統合され姿勢を保持しています。
姿勢コントロールのポイント
✔︎筋肉を感覚器として働かせるためにも姿勢保持における過剰収縮を避ける
✔︎頭部を平行に保つ
✔︎視覚によるフィードフォワードを活かすためにも頚部を動かしたい(眼球の動きも大事)→頭部を平行に保つためには脊柱の分離(頚椎-胸椎・胸椎-腰椎)が必要になる
バランス機能改善のための脊柱エクササイズ
身体の中心であり、動きの中心である脊柱は手足との連動性を高めるためにも、そして重力を緩衝するためにも柔軟に動かす必要があります。
ストレッチで外側の大きな筋肉を伸ばすだけでなく、背骨を一つ一つ動かす意識により、インナーマッスルが働き分節的な動きを獲得できます。
脊柱の丸める反る、傾けるを中心に丁寧に脊柱を動かすエクササイズをご紹介します。 エクササイズにて身体が軽くなる感覚、地面を捉える感覚が得られるまでトレーニングしましょう!
体幹と四肢を繋ぐ.連動性トレーニング
体を動かす際に体幹と四肢は胸鎖関節、仙腸関節を介して連動します。
それぞれの動きは連結部位を通して力が伝播します。
そのため、連動するとはお互いの動きがもう一方の動きを阻害しない事と考えます。
四肢もしくは中枢の動きに制限がある場合、その動きは胸鎖関節・仙腸関節を通してお互いに伝わり、代償的な動きが出現することになります。
そのため適切な連動性を得ることで、 体幹から発生した力を四肢に伝える 地面からの力を体幹に伝える 以上の獲得を目指します。
理学療法士によるパーソナルトレーニング
医療の現場でも用いられる徒手療法にて、筋・関節の状態を適正化させることで力が入りやすい状態を目指します。
関節が安定した状態で、身体の連動性を高めるトレーニングにより、適切なタイミングで適切な方向に、適切な力を発揮しやすい状態を獲得します。
身体機能を高めることで、効率的な動作習得を目指します。
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